ここからようやく物理っぽくなります。

ここからは、ある程度物理の専門用語を使いながら話を進めます。
例えば”慣性系”と言う言葉。
これは、単純に”観測者”と考える理解しやすくなるでしょう。

あと、座標系。
縦・横・高さ というものを考えて、それぞれ\(x\)軸・\(y\)軸・\(z\)軸 の様に考えます。
さらにこの3つの軸は直行していると、今のところは考えましょう。

今後2つの座標系を考える場合、2つの座標軸の方向は一致しているとします。
(軸に方向と言い方はちょっとアレなのですが、とりあえず2つの座標系のそれぞれの軸は平行で増減の方向が同じということをこう表すとします)

さて、これだけの前提をもって、話を進めます。

光速度不変なのだから、とりあえず光について考えてみよう。

今、慣性系\(K\)と\(K’\)を考えるとします。
\(K\)に対して\(K’\)が等速運動しているとして、その方向が\(x\)方向だとします。
そして、その速度が\(V\)とします。
さらに、\(t=0\)の時点で、\(K\)の原点\(O\)と\(K’\)の原点\(O’\)が一致していたとします。

\(K\)において、原点\(O(0, 0, 0)\)を出発した光が、\(t\)秒後に点\(A(x, y, z)\)に到達したとすると、
\(ct = \sqrt{x^2 + y^2 + z^2}\)
この光を\(K’\)から見た時、原点\(O’ (0, 0, 0)\)で\(t’\)秒後に点\(A'(x’, y’, z’)\)に到達したと見えるはずで、
\(ct’ = \sqrt{x’^2 + y’^2 + z’^2}\)
ここで、\(K’\)の移動は\(x\)方向のみなので、\(y=y’, z=z’\)となります。

ところで、\(x\)と\(x’\), \(t\)と\(t’\)の間は1次の関係式になっているはずです。

これは、ちょっと強引かもしれませんが、以下のように考えます。
\(x’=f(x, t)\)及び\(t’=g(x, t)\)
\(x=h(x’, t’)\)及び\(t=k(x’, t’)\)
という関係があったとして、\(K\)と\(K’\)が相対的な関係とすれば、
「\(K’\)が\(K\)に対して\(x\)方向に\(V\)で移動する」 = 「\(K\)が\(K’\)に対して\(x\)方向に\(-V\)で移動する
となるはずなんです。
こうなるとすると、\(f(x, t)\)と\(h(x’, t’)\)は、\(V\)を\(-V\)に変えるだけで同じ形になるはずです。
同じように\(h(x, t)\)と\(k(x’, y’)\)も\(V\)を\(-V\)に変えるだけで同じ形になるはずですね。
こういう関係にあるためには、\(f, g, h, k\)すべてが1次関数になっている必要があるんです。

簡単な例として\(x\)が\(x’\)の2乗で表されるとすると、
\(x=Ax’^2\)
と書けるために
\(x’=\pm\sqrt{\frac{x}{A}}\)
となり、\(x\)は\(x’\)の2乗で、\(x’\)は\(x\)の\(1/2\)乗で表せることになります。
つまり、2つは違う形になってしまうんですね。

ということで、\(x\)と\(x’\), \(t\)と\(t’\)の間は1次の関係式、とします。

4元連立方程式が立てられます。

\(x’=F(x, t)=Ax+Bt\)
\(t’=G(x, t)=Cx+Dt\)
この状態では式が2つで未知数4つなので解けませんが、ちょっと工夫します。
・\(K’\)の原点\(O’\)について、\(K\)から見た時と\(K’\)から見た時を考えることで、一つ式ができます。
・さらに、光の終点についての式に上の式
\(ct = \sqrt{x^2 + y^2 + z^2}\)
の両辺を2乗して右辺を0にして
\( x^2 + y^2 + z^2 – c^2t^2 = 0\)
これを代入してやると、\(~~ = 0\)という式ができます。
これがすべての\(x, y, z, t\)で成立するということから、3つの式が出てきます。
これにより4つの式で4つの未知数となり、すべての未知数が決定できます。
こうして、\(x\)と\(x’\)、\(y\)と\(y’\)、\(z\)と\(z’\)、\(t\)と\(t’\)の関係が出てきます。

この関係をローレンツ変換といいます。

出てくるのは以下の式です。
\(x’ =frac{ x-Vt}{\sqrt{1-(V/c)^2}}\)
\(y’ = y\)
\(z’ = z\)
\(t’ =\frac{ t-Vx/c^2}{\sqrt{1-(V/c)^2}}\)

よく言う”4次元空間”という言葉は、この式を見ると理解できるのではないでしょうか。
時間のパラメータ\(t’\)に空間のパラメータ\(x\)が入っているんですね。
つまり、時間は空間と切り離して考えられないものになっているんです。

さて、ローレンツ変換による相対性理論 = 特殊相対性理論 が成立するとすると、どうなるのか?

実はここまでの話で使っているのは、光速度不変、だけなんですね。
ここから先、もう一つの仮定、

”すべての慣性系で物理法則が同じように成立する”

を加えて話を進めます。
とりあえず、皆さんがよくご存じの \(E-mc^2\)までの流れを見ていきましょう。

実はこのあたりから話の進め方が本・サイトによりバラバラになっていきます。
というのも、ここから新しい数学を適用した方が、よりエレガントに話を進められるからなんですが。
そうなると、数学の話をしなきゃならなくなるので、そっちにはいきません。

参考にするのは、「高校数学で~~」という本です。
使っているのは高校数学ですので、それなりについていけそうですからね。

前のページ:うたた寝の夢から光速度不変まで

次のページ:ローレンツ変換からE=mc2まで 1

特殊相対性理論 目次

相対性理論にチャレンジ 目次