物理にはいろいろな分野があるのですが、共通している部分が力学(ニュートン力学)です。なのでまず「力学」を学びます。

物理と言うのは、いろいろな分野があります。
パッと思いついただけで
・力学
・熱力学
・電磁気学
・量子力学
・特殊・一般相対性理論
あたりですね。

ただ、そういう中でも共通している部分がありまして。
それが最初に書いてある「力学」です。
ちょっと詳しく言うと「ニュートン力学」ですね。

みなさんご存じのアイザック・ニュートンさんが体系づけた物の運動に関する理論です。
ニュートン力学は3つの法則からできていまして。
1.慣性の法則 2.運動方程式 3.作用反作用の法則なんです。
これについては時が来たら説明するとして。
このうちの2.運動方程式 というのを、他の分野でもれなく使っています。
ということで、初めに学ぶべきは「力学(ニュートン力学)」という事になります。
ただ、いきなりニュートン力学から入るのもどうかというところがありまして。
そのことはあとで説明するとして。

とにかく、入り口は「力学」で「物の動き」についてになります。

ニュートンさん以前も、物の動きを考えていました。その流れでニュートン力学になるんですね。

ニュートンさん以前は物の運動を考えていなかったかというと、そうではないんですね。
例えば、ガリレオ・ガリレイさんがピサの斜塔で行った(と伝説になっている)重いものと軽いものを同時に落とした時の運動についての実験。
物の重い軽いに関係なく同時に地面に落ちました。

この実験より前は、無邪気に「重い物は早く、軽い物はゆっくりと落ちる」と信じられていました。
鉄の球は早く、羽はゆっくり落ちるからですね。
もちろん皆さんも理解していると思いますが、羽がゆっくり落ちるのは空気抵抗があるから。
真空中では鉄の球も羽も同時に落ちます。
(かなり前にテレビでこの実験をしているのを見ました)
ここから、「重い物も軽い物も、同じように地面に引っ張られる」という事になったんだと思います。
では、何が同じようにだったのか?

そのほかにも、物を動かしたり止めたりするときに何か「しんどい思い」をしないといけないという事がわかっていましたし。
そのしんどさは、軽い物を動かす時より重い物を動かす時の方がよりしんどいという事もわかっていました。
そのしんどい思いを軽くするために、梃子や輪軸というものが使えることもわかっていました。
この「しんどさ」は一体何なのか?

こういうことを考えるために、「物の動き」について学びます。

とりあえず、ものが動く時と動く時と動かない時と、動いているときのことを考えていきます。

何を言っているのかと思うでしょうが。
物の動きについては
a.物が止まっている=動いていない。
b.止まっている物が動き出す。
c.(注目する前から)物が動いている。
という3パターンがあります。
一番簡単そうなものから考えるとして、ものが止まっている時を考えます。

a.物が止まっている 時のことを考えると、多分我々は「物に対して何もしていない」という状態です。
おっと、何もしてないのに動いていたり動き出すことがあるぞ!っというのは後回しです。
あと、いろいろしているのに動かないという状態(綱引きで勝敗がつかない状態なんかですね)もちょっと後回しにします。
何もしなければ、物は止まっている(こともある)という事をまず前提で話を進めましょう。

これを受け入れた時、b.物が動き始めたという事は、「何か起こった」と考えてよいのではないか、と仮定します。
例えば、自分が手で押してしんどい思いをした、とかね。
もちろん、自分(も含め誰も)が何もしてないのに何もしていないのにひとりでに物が動くという事もあります。
・・・一見するとホラーですよね。
が、案外こういうことは起こりますね。
簡単な例が、「落下」です。
そのほかにも磁石(方位磁石)の針もそうですね。
つまり、こういう場面では、我々は何もしてなくても、何かが起こっていると考えられます。

c.(注目する前から)ものが動いている というのが一番難しい。
こういう時は、発想を逆転します。
動いているものが止まるときはどんな時か?
これ、自分がしんどい思いをして止めた時、じゃないでしょうか。
そして、これをさらに逆転させると。
自分がしんどい思いをして止めなければ、物は動き続けるのではないか?
それこそ、永遠に。
ここから、「動いているものに何も起こらなければ、物はそのまま動き続ける」と言えそうです。

でも、物はいずれ止まってしまうわけで。
これは何かが起こり続けているという事を示しています。
止まってしまうのを避けようと思うと、自分がしんどい思いをして何かしないとだめですね。
これらを総合すると、物の動き方を変えるためには、何かが起こらないと(しんどい思いをするなど)ダメという事です。

まとめます。
1.ものに何もしない(何も起こらない)と、止まっているか今のままの動き方を続ける。
2.ものに何かをする(何かが起こる)と、物の動きが変わる。
となります。

ここまでしてから、何もしないのに物の位置が変化する代表として「等速直線運動」次に物の動きが変化する「落下」を考えます。

物の動きを見るために。速さ、そして速度を考えます。が、その前に少々準備します。単位の話とかね。

とりあえず復習ついでに、物の動きを考える上で現状で持っている(はず)の武器を並べてみましょう。
1. 道のりまたは距離、速さ、時間の関係(小学 算数)
2. 1次関数(中学 数学)
3. 文字と式(中学 数学)
他には
4. てこの原理、輪軸・滑車の原理(算数?)
5. 力と仕事(中学 数学)
あたりでしょうか。
あと、ちょっと先取りですが、
・微分(高校 理系数学)
の知識もあると便利です。
どのみち習うんですから、ちょっとくらい先取り(ネタバレ)してもいいですよね。

さて、物の動きは1.にあるように小学校の事から何かにつけて我々を楽しませて(苦しませて)くれました。
例のTの字を書いて、左下からハジキ(キで上に行く)と覚えたりした、あれです。
ちなみに、距離と道のりは、経路が曲がっていなければ(=直線で移動するなら)同じです。
ただ、経路が曲がりくねっていた時に”距離”と言ってしまうと直線距離を連想するので、言い換えるだけですね。
ただ、この2つはこのすぐ後に別の言葉に変わるので、そんなに気にしないでおきましょう。
とにかく、物の動きを見るためには、距離、速さ、時間、の3つが必要という事です。

さて、ここで数学と科学の違いを見てみましょう。
(本来は数学も科学ではあるんですが)
それは、「単位がある(科学)かない(数学)か」です。
今は高校物理をやっているので、科学側、つまり単位が必要なわけです。
で、一つの性質を表す単位は、幾つもあります。

例えば、長さという性質を表す単位は、
メートル、ヤード、尺
などいくつもあります。
仕方ないですよね、昔々にそれぞれの地方で勝手に使ったんですから。
でもそれだと、違う単位を使う人同士の会話が大変になる。
そこで単位を統一しましょう、となったんです。
何に統一されたかというと、
メートル(長さ)、キログラム(質量)、秒(時間)、アンペア(電流)、ケルビン(温度)、モル(物質量)、カンデラ(明るさ)
です。
これを国際単位系(SI単位系)と言います。

あと、接頭語というのをつけて、大きな量や小さな量を表すこともあります。
例えば、1000メートルを1キロメートルにするとか(キロという言葉が1000倍を表します)。
ついでに、今まで”性質”とか読んでいたものを”物理量”と呼ぶことにしましょう。
(この物理量という言葉は、案外曖昧らしいんですけどね)

ちなみにこれらの性質を複合させた物理量も存在します。
上でいう”速さ”がまさにそれになるんですよね。
それを説明しながら、単位(や物理量)の次元についても触れていきましょう。

単位や物理量における次元について。

小学校の時の算数を思い出してください。
例の”ハジキ”というT字ですね。
速さ=距離 ÷ 時間
でした。

今、距離、つまり長さの単位をメートル(m)とし、時間の単位を秒(s)とします。
すると、速さの単位は、「メートル(m)/ 秒(s) → m/s」になります。
小学校の時は「毎秒〇〇メートル」と行ってましたかね。

さらに、累乗というものを思い出してください。
「エックスの2乗」とか読んでたやつですね。
ちなみに、割り算側、つまり分子に来るものは”マイナス何とか乗”としました。
(\(\frac{1}{2}\)は”2の-1乗”の様に)
これを先ほどの速さの単位に当てはめます。

m/sですから、速さは”長さの1乗、時間のマイナス1乗の次元を持つ”と言うんですね。
実は呼び方はいっぱいあってですね。
”メートル毎秒”だの”メートル、パー、秒”だの。
まあ、言っていることはみな同じ。

ちなみに、”無次元”の量もあります。
単位の換算に使う係数なんかです。
例えば、1インチは25.4ミリメートルなので、xインチからyミリメートルへの換算式は
\( y = 25.4x\)
となります。
この時の25.4は無次元の定数となります。
なぜならインチもミリメートルも長さの次元を持ちますから、25.4が次元を持つと上の式の左右の次元が異なってしまうからですね。

じゃあ係数とか定数は全部無次元かと言うとそうではなくて。
有名なものは万有引力定数です。
Gなんですが、小数点第2位まで書くと\(G = 6.67 m^3kg^{-1}s^{-2}\)という次元を持ちます。
つまり、この6.67という数字を使うためには、その式の中の重さ(質量)についてはキログラム、時間は秒、長さはメートルを使わないとだめという事です。

色々あったので、本題の速さ、からの速度は次回に回します。

既にめいっぱいのボリュームなので。
本題である速さ、そして速度は次回に回します。
次回予告の様にちょっとだけ内容を書いておきますと。

速さには負の数はないのですが、速度にはマイナスがあり得ます。
そして、それに伴って、いろいろな物理量にマイナスが出てくるのですが・・・

あと、時間とともに位置が変化する動きには、等速運動と加速度運動がありまして。
等速運動の中でも、等速直線運動は特別なものです。
そして、加速度運動の中でも等加速度運動はやっぱり特別なものです。
この2つを突破口として物の動きを見ていくことにします。

それでは次回をお楽しみに。