等価原理を前提とすると、「光が曲がる」 → 曲がるのは時空なのでは?

等価原理によって、重力が働いている自由落下状態=無重量状態と、重力の無い無重力状態が同じように扱えることになりました。
これにより、無重力を前提としていた特殊相対性理論を、重力の働いている自由落下状態でも適用できることになったんです。

ところが、それにより光が曲がることが予想されてしまいました。
それが、真空中での光の速さが変わるように見えました。
これは、特殊相対性理論の根本である光速度不変に無住しているように思えました。

しかし、アインシュタインさんは、光速度不変を信じ切りました。
その結果、以下のように考えたのです。
「曲がっているように見えるのは、光の経路ではなく、時空なのではないか?」

「時空が曲がる」今でこそ皆さん当たり前のようにいってますが、よく考えるととんでもないことです。

「時空が曲がる」というのは、”真っすぐが真っすぐでなく、時間が曲がってすすむ”という事になってきます。
でも、時空として時間と空間を一緒に扱うのは難しいので、とりあえず空間と時間を分けて考えてみましょう。

時空が曲がるという事は、空間が曲がるという事を意味します。
自分はまっすぐ進んでいるつもりが、外から見るとまがって進んでいるように見えるということですね。
なかなか想像しにくいかもしれませんが、実は案外わかりやすい例があります。
それは、「地球の上を移動している自分を考える」事。
あ、別に、大圏航路とか当確航路とか、そういう難しいことを言いたいのではなく。
「まっすぐ進んでいるように見えても、絶対に地球の丸みに沿ってカーブしてますよね」、という事。
地面が曲がっているので、それに沿って自分もまがって進んでいる、という事ですね。

空間が曲がる事が何となくつかめたところで、もう一つ「時間」もまがっているという事も考えましょう。
”時間が曲がる”と言うと何となくわかりにくいかもしれませんが、”時間の進み方が曲がる”と考えてみてはどうでしょう?
さらに”進み方が曲がる”=”進み方が変わる”という事でなんとなく見えてこないですか?

さて、大まかに時空が曲がるというのがどういう感じかつかめたところで、話を進めましょう。

重力で曲がって見える光の帯の内側と外側で何が起こっているかというと。

まず、空間について。
光はまっすぐ進んでいるのですが、空間が曲がっているので、外から見ると曲がっているように見えるわけです。

次に時間について、外側より内側の方で時間がゆっくりになっているんです。
内側の方が進む距離が短いように見えますが、時間がゆっくり進んでいるので、速さは変わってないことになるんです。
(というか、速さが変わらないように時間がゆっくりになる、というイメージですね)

こうして光速度不変は守られることになる、のですが。
曲がった空間というのはなかなか難しいんですね。
例として、曲がった面(=曲面)を考えてみましょう。

平面と曲面では、かなり根本的なところから違います。

パッと見て”やばいな”と思うのは、三角形の内角の和ですね。
平面では、ユークリッド幾何学というのが適用されて、三角形の内角の和は180°です。
これは、いろいろなところで使われていて、例えば三平方の定理でもその証明に使われたりします。
そして、その三平方の定理は、幾何学の基本となっています。
逆に言うと、三角形の内角の和が180°にならないとしたら、今までの幾何学は根底から覆るわけです。

そして、曲面上では、三角形の内角の和は180°ではありません。
曲がり方によって、大きくなったり小さくなったりします。
ここでもう、すでに今までのユークリッド幾何学が役に立たないという事になってしまいます。

それどころか、曲面においては、最短距離は直線になりません。
ちょっと前に行った、大圏航路と等角航路の事になります。
曲面では最短距離は曲線になります。(地球上ではこれを大圏航路といいますね)

こういった、”曲がった場所”の幾何学が、リーマン幾何学というものですね。

このリーマン幾何学というのが結構めんどいので、別ページでやるとして。アインシュタインの導き出した式が「アインシュタイン方程式」というものです。

とにかく、いろいろあって出てきた式をまずご紹介します。
\(G_{\mu\nu} + \Lambda g_{\mu\nu} = \kappa T_{\mu\nu}\)
ちなみに、
\(G_{\mu\nu} = R_{\mu\nu} – \frac{1}{2} Rg_{\mu\nu}\)
で、\(\Lambda g_{\mu\nu}\)は宇宙項といわれるものになります。

宇宙項はかつてアインシュタインさんが「生涯最大の過ち」といって削除したものなんですがね。
最近は、ダークマターによる斥力として復活しているという事です。

ちなみに、アインシュタイン方程式をすごく簡単に説明すると、左辺が時空の曲がり具合を、右辺が物質の量を表します。
ただ、この方程式、「10元連立偏微分方程式」というものなので、解くのがとっても難しい。

目標は、すでにわかっているいくつかの解を追いかける事なんですが。
それですら、ここから先の話は、数学を使わないとついていけません。
なので、ここから先に進むために、いったん引き返すことにします。(2021.6.21において)
引き返す場所は「平面ベクトル」です。

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