空間と言えば普通3次元空間とか4次元空間とかですが。まずその考え方をいったん脇に置きましょう。

  • 空間というと、縦、横、高さ、あれだろ?
  • いやいや、最近は縦、横、高さに時間がつくんだろ?

というのは、ある意味正しいのですが。
これは「一般生活レベル」で正しいという事でして。
(4次元空間が一般生活レベルかというと微妙ですが。
やっぱり、青いネコ型ロボットの功績が大きいのかもしれません。
4次元空間はかなり一般常識になっています)

言葉というのは、特殊な領域では特殊な使われ方とか独特の意味を持つことがあるんですよ。
レベルの高低とか難易とかそういう意味ではなく。
ただ、「違う意味になる事がある」ということです。

簡単な例は「または」という言葉。
一般生活では、AまたはBといえば、「AかBかどちらか一方」という意味です。
しかし、数学や物理などでは「A,Bどちらか一方」だけでなく「AB両方」も含まれます。

で、「空間」というのは、物理数学のかなり後の方では、「何かの集まり」という意味に変わります
この”何か”というの意味は、”ある規則に従ったもの”となります。
で、このある規則によって、ベクトル空間だの、線形空間だの、テンソル空間だの、という別の名前が出てきます。

ある意味、(3次元)空間とか4次元空間というのも、こういうある規則にしたがった集まり、となっています。
こんな感じで、今まで空間というもののイメージ(概念、といってもいいかもしれません)を変えてしまった後で、さらに空間について考えていきましょう

空間、体、元、???

数学をまともに勉強しようとして教科書を読むと、皆さんどう思うでしょう?
中には、スラスラと、違和感なく、まるで絵本か何かを読むがごとく、リアルタイムにかつ完璧に理解していける方もいらっしゃることは理解しています。
ただ、私程度のレベルですと、はっきり言って、「暗号文」にしか見えません。
(私なりに考えた「暗号文と数学」については、また別の機会にご紹介します)

ただし、暗号とはいっても文なので、そこに「伝えたい何か」が存在しています。
その何かを理解するのが「暗号を解く」という作業ですね。
そして、暗号を解くためには、そこにある規則性を理解する必要があります。
ということで、空間を勉強するために必要な規則性(=ルール)を学びましょう。

数学の教科書なんかでよく見かける表現に、
「体F上のベクトル空間V」
というのがあります。
はっきり言って、わかりません。最初は。
そして、ある程度理解したつもりの今も、ほんとにその理解で正しいのかわかりません。
が、ここは「まんぼう流」の理解を紹介していきます。

まず、ベクトル。
これは物理数学の「平面ベクトル」を理解した後に、次元を増やして考えていけば大丈夫です。
とても簡単に言うと、「何かをまとめて扱ったもの」。
まとめた一つ一つを要素といい、まとめたものの個数を次元といいます。
(注意、本当は、こうした上でいろいろなベクトルが満たすべきルールにあったものでないとだめです。それは「平面ベクトル」の方を読んで下さい。)

ここでは、要素は「数」だとします。
そして、「数」の集まり全体を、「体F」と呼ぶことにします。
実はこの「数」、正体がよくわかりません。

自然数、0を含む自然数、整数、有理数、実数、複素数。
ナントカ数というのを数え上げると、こんな感じです。
じゃあ、体Fはどの「数」を扱っているのか?
なんとなく、実数っぽいけど、複素数でもあるような。
でも、複素数は、実数と虚数(2乗して-1になるもの)で表せるし。
というところで、はっきりしないのです。
なので、とりあえず、実数か複素数かは置いといて、ここから先、「数」と言ったら「数学で計算できるもの」としておきます。
つまり、「リンゴ、ばなな、蜜柑」というのは、ベクトルとしてはナシという事ですね。
(なぜか食べ物ばっかりになりましたが)

そして、本丸である「空間」。
これは、前にも言ったように、何かの集まり。
ですから「ベクトル空間」といったのなら、「ベクトルの集まり」、となります。

これだけのルールで先ほどの
「体F上のベクトル空間V」
を翻訳しますと、
「”数学で計算できるもの=数” を”まとめて扱うもの=ベクトル” の”集まり=空間” で名前はV」
となります。
どうでしょう?それなりに宇宙語から日本語になってきたような気がしませんか?

空間を考えていたら、ついでにベクトル空間も考えていたという一石二鳥状態ですが。
さらに考えを進めます。
ゴールは「テンソル空間」。

ちらっとゴールである「テンソル空間」を見てみると、そこは阿鼻叫喚の世界・・・

ゴールの「テンソル空間」の話が出たので、ちょっとその周辺を除いてみましょう。
「テンソル空間とは、1種類のベクトル空間Vとその双対ベクトル空間V*のテンソル積で作られるテンソル積空間の事」
・・・この言葉を書く方々は、誰かに情報を伝えようと本気で思っているのだろうか?と一瞬疑ってしまいます。
しかし、これは本気で伝えようとしているのだけは確かです。
ただ、読み手の私にこれを読み解くためのデータ(=知識)が圧倒的に不足しているだけ。

っていうか、テンソル空間を説明するのに、テンソル積が出てくるってどうよ?って感じだと思います。
でも、ちゃんと元々の意味を読みとると、案外理解できたりします。
しかも、この中で、「ベクトル空間」というものは既に理解できている、ってことにして話は進めますよ。
まだの方は、ちょっと前とか物理数学の所とかをもう一回読んでみてください。
もちろん、他の方のホームページとかもとっても勉強になりますよ。

なので、次の段階として問題となるのは「双対ベクトル空間」だという事で進んでいきます。

双対ベクトル空間というのは、「双対ベクトル」でできた空間。じゃあ、双対ベクトルというのは何?

勘の良い方は気付いているかもしれませんが、双対ベクトル空間は、「双対ベクトル」の集まりです。
なので、双対ベクトルが何かがわかれば、一気に理解が進みます。

もう一つ、もしかしたら気付いているかもしれませんが。
双対ベクトルというのは、「何かのベクトルの、双対なベクトル」という事で、あるベクトルがあって初めて決まるものです。

で、まあ、数学的にはいろいろと難しい記述があるのですが、とりあえずここでは
・多少間違っていてもいいので、前に進めるだけの装備(=知識)を手に入れる。
という事を念頭に置いて進んでいきたいと思います。

(今私がやっているオンラインゲームのFF 14では、場面ごとに最適な装備があります。
ただ、それを手に入れるのは難しい場合、最低限この程度の装備が必要、というのもあります。
ここではこの、「最低限の装備」を入手します。
もちろん、最適な装備が入手できるようになれば、それに変えていけばよいのです。)

双対について話す前に、変換とか写像とかを理解しましょう。

これについても、物理数学の「平面ベクトル」で解説しています。
が、ここでも軽く触れておきましょう。

先ほど、双対ベクトルは「何かのベクトルの、双対なベクトル」と言いました。
これは、「何かのベクトルを、コネコネすると双対ベクトルができる」という意味にも取れます。
この”コネコネ”と言うのが変換とか写像とかいう操作になります。

しかし、コネコネの方法にも種類があって、その種類ごとに〇〇変換みたいに名前がつくので注意が必要です。

このコネコネの中で、ベクトルを数に変えるものがあります。
ベクトル自体は、いくつかの数をまとめて扱う(その一個一個は要素と呼びました)ものなので、このコネコネは、・・・そろそろコネコネを言うのを卒業して「変換」といいましょう・・・、ベクトルの要素から数を作る変換、と言えます。
こういう変換を行う操作を「線形汎関数」と呼びます。
なぜ線形か?汎とはなにか?とか考えないでください。
名前は名前、私が「まんぼう」と名乗っているのと同じです。

高校時代に理系数学を勉強した方なら気付くかもしれません。
この線形汎関数の中は、内積が含まれています。
これで線形汎関数というのが、ちょっとだけ身近になってくれたらいいのですが。

そうそう、「変換」ばっかり言って、「写像」という言葉がいじけているといけないので、このあたりで「写像」について説明します。

  • 写像とは、変換でできたもの

です。
なんか扱いが軽いかもしれませんが、どれほど頑張っても、私にはこれ以上詳しく話せません。
きっと、数学者とか数学の特異な方なら、もっと本質的な説明ができるのだろうと思いますが。

さて、変換と写像を説明するついでに、線形汎関数が説明できてしまうという、またしても一石二鳥状態ですが。
この辺から、ベクトルについても縦ベクトルと横ベクトルに差をつける必要が出てきます。
が、かなり長くなったので、このあたりで一区切りついておきましょう。

注意:この縦ベクトルと横ベクトルという言葉は、一般的には使いません。
私のページでのみ通用すると思っていてください。
ただし、他の方にもこの言葉を同じ意味で使っていらっしゃる方々がいらっしゃいます。
縦書きとか横書きという事もあります。
そのあたり、もしほかのページで見ることがあれば、ニヤッとしておいてください。
ちなみに、おそらく私の方が後でこの言葉を使っているので、もしまねしているとしたら私の方ですので、誤解なきようにお願いします。