兵庫県立美術館 「河鍋暁斎」, 「BOUNDARIES -境界のむこう」

趣味を作ることが趣味の、はしびろこうです。
昨日、兵庫県立美術館に行ってきました。
お目当てはタイトルにある通り「河鍋暁斎」だったのですが、ついでにコレクション展の「BOUNDARIES -境界のむこう」が思ってもみなかったパワーを発していたので、こちらもご紹介します。

河鍋暁斎(5/19まで)

1831年~1889年 58歳でお亡くなりになっているんですね。
もし、行かれる方がいらっしゃったら、生没年だけは押さえておきましょう。
手のひらサイズのメモに書いて持っていてもいいですね。
(ただし、筆記用具は鉛筆だけ許可されていますので、ご注意を)
河鍋暁斎さんといえば、カラスの絵で有名です。
100円という(当時の価値でいうと、1円が2~4万円の価値があったそうです)値を付けて、悪口を言われながらも、その心意気や良しと感じ入った富豪に買ってもらって、現在門外不出になっているというのが有名ですね。
というか、私はそのカラスしか知りませんでした。(古木寒鴉図というそうです)
今回の展示には、”柳の木にとまるカラス”というのがありまして、こちらのカラスも素敵でした。
というか、すべてについて言えますが、無駄のない線で多様な表現をしていると感じました。
この点は、人物の表情などによく見て取れると感じましたね。
表情・動き・時には質感まで、非常に少ない線で活き活きと表現されています。
一方で、非常に目が良かったのでしょうか、難しいアングルの構図もたくさんありました。
鯉を真正面からみた絵に一番これが表れていましたね。(鯉魚遊泳図)

ただね、これだけの才能あふれる画家の絵なのに、いつも私が感じるプレッシャーのようなものが感じられなかったんです。
なんだか焦ってしまって、途中で何度も後戻りしては作品を見るという問いことをしていたんですけどね、やっぱりあまり引き込まれる感がないんです。
そんな焦燥感と疑問感を持ちながら、終わりのほうに来たんですが、やっとそこで天才から受けるプレッシャーを感じられました。
最後のほうにあったのは、観音様の絵なんですけどね。
売り物だったものもあれば、日課として書いていたものもあったようですが、この絵からはいつも感じる圧迫感を感じましたね。
きっと、それまでは彼が本当に書きたいものではなかったのではないかと思っています。
江戸から明治に変わった時、絵師たちは生きることが困難になったと考えます。
生きるためには、大衆に受けるものか、パトロンに受けるものを描かなければなりません。
彼は非常に高い技術があったので、うまくどちらにも合わせて描いたのでしょう、生きるために。
それは、非常に正しい選択だったと思います。
ただ、晩年に書いた観音様に関しては、彼が描きたいと思ったものを描けたのでしょう。
もしかすると、地獄だの骸骨だのを描いていたのは、”死”への恐怖であり、観音様は損恐怖を取り去ってくれる救いだったのかもしれません。

BOUNDARIES -境界のむこう(6/23まで)

境界、それは2つの異質なものが接触する、不思議な場所。
そこは、場所であって、「場所」ではないところ。
なぜなら、そこにとどまることができないから。
と、まあ少し意味深な書き出しで始めてみました。

境界っていうのは不思議なもので、その近くに行ったり、越えてみたりしたときに初めて見える風景というのがあるんですよ。
例えば、国境なんてどうでしょうか?
私が初めて外国に行ったとき、「ああ、やっぱり日本の外にも普通に人々が住んでいて、暮らしているんだなぁ」ってしみじみ思いました。
よく”かわいい子には旅をさせろ”というのを、子供につらいことを強いることだとして、わざわざ困難な要求をしたりします。
でもね、多分、本当は先ほどの「ああ、今いるところ以外にも普通に人々が住んでいて、それそれに暮らしているんだ」というのを教えることを言っているんじゃないかと、個人的には思ってます。
そして、多分、その感動が画家にとって創作意欲を掻き立てるのかもしれません。
もっと、単純に、地平線や水平線はどうでしょう?
地平線は日本ではなかなか見られませんが、水平線はいろんなところで見られますよね。
私は水平線を見るたびに、開放感とか高揚感を感じますが、皆さんはどうでしょう?
個人的には、その開放感とか高揚感を絵にしたいと思うことが度々ありました。
(絵心がないのであきらめましたが)

そんな不思議な存在、「境界」。
やっぱり、画家の方々も、そういったものに刺激されて絵を描くことがあるんですね。
そんな絵を集めたのが今回のコレクション展です。
小磯良平さんと金山平蔵さんがメインとなってますが、その他にも有名な方がちらほらいらっしゃいます。
先ほどの河鍋暁斎展で、それほどのプレッシャーを感じられず、ちょっと戸惑い気味だったのですが、この展示で一気に来ましたよ。
心地よいプレッシャーが。
もちろん有名な方の絵からもビンビン来ますがね、聞いたことのない方の作品からもガンガン感じましたね。
ただし、まったくプレッシャーを感じられなかったものもあったことは告白しておきます。
久々に、”美術って楽しいな”って思いましたね。

番外 お昼に壱屋さんでローストビーフ丼をいただきました。

お昼はJICAの食堂に行こうと思ってたのですが、あいにくお休みでした。
なので、急きょ妻にLINEして教えてもらったのが壱屋さんでした。
頼んだのは、妻のおすすめ、ローストビーフ丼850円。
写真がないのが返す返す残念です。
お味のほうはといえば、はい、とってもおいしかったです!
一口食べるたびに幸せになるって感じですね。
次はステーキ定食(1000円)を食べようと、心に固く誓ったのでした。
次は6月1日~7月21日の”印象派からその先へ”がありますからね。
展示ともども楽しみになってきました。

ということで、今回はここまで。
それではまた、ごきげんよう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です