K値から「緊急事態宣言は意味がなかった」「自粛は意味がなかった」とするのは正しいのか?

趣味を作ることが趣味の、はしびろこうです。
と言いながら、今回は科学の子である、まんぼうっぽく話を進めます。
しかも、穏やかな感じではなく。
科学の名を借りて人々を扇動する、もしくは自らの思う方向に人々をミスリードしようとする動きに対する、激しい憤りをもってです。

結論から言うと、「K値の変化がなかったから、自粛に意味がなかったと」いうのは、あまりに乱暴。

あまりに乱暴すぎる意見なもので、はしびろこうとしても、まんぼうとしても、激オコぷんぷん丸です。
(かなり死語に近いのですが)
今回主張されているのは、緊急事態宣言で日本のK値に変化が見られなかったという事。
これをもって、緊急事態宣言に意味がなかったとか、自粛に意味がなかったと結論づけるのは、あまりにナンセンスすぎて話にならないレベルと考えます。
こちらにリンクを張りました。大阪大学 中野教授の論文等です。
日本語もありますので、一度ご覧になってください。
ちなみに、中野教授は、

「尤も予想通りに推移していること自体が様々な社会活動を制限した施策のお陰だと言えなく もない。検証のために実験を繰り返すことは出来ないので、客観的な事実として「効果が見え ない」とした。活動制限に「効果がない」と断言している訳ではない。」

と本文中で書いています。
日本語力が普通にある人であれば、これをもって「緊急事態宣言は意味がなかった」とか「自粛は意味がなかった」と教授が主張しているとはとらないと私は考えます。
(そういうとり方をする方は、社会活動の制限に対する、または中野教授に対する悪意を持った人ではないかと考えます。)

K値が緊急事態宣言前後で変わらなかった事で言えるのは、その前後で日本における状態にあまり差がなかった、ということだけ。

論理的に考えましょう。
新型コロナ感染状況におけるK値の意味は、感染の増減に関する変化の仕方、と理解しました。
まあ、ここが間違っていれば、この後の議論は意味がなくなりますがね。
とりあえず、これを正しいとして話を進めます。
このことから、
日本においては、緊急事態宣言の前後で、新型コロナの感染増減に関して、変化がなかった。
という事が言えます。
やっぱり、緊急事態宣言は意味がなかった、ですって?
そう感じたあなたは、既に先の記事で洗脳されているのかも?
私が少し考えただけで、「意味がなかった」というものも含めて3つの可能性が出てきたのですから。
しかも、「自粛に意味がなかった」、という可能性については、即否定できてしまいましたので。
(先ほど紹介した日本語の論文を読めば、ですけど)

可能性その1.自粛に意味がなかった。
→これは海外でK値が変化した例があることから却下。

先ほど紹介した論文(日本語)の4ページ目に以下のような文があります。

「ヨーロッパのいくつかの国で見られたような社会活動の制限等の施策による感染収束速度の増加もなければ、米国で見られるような感染再拡大の兆候も見られない。」

普通に国語力があれば、ヨーロッパのいくつかの国では、社会活動の制限などの施策によって、K値がCOVID-19収束の方向に変化した。ということを読み取れるでしょう。
つまりヨーロッパのいくつかの国では、社会活動の制限等の施策がCOVID-19の収束に効果があったという実例がある、ということですね。くどいようですけど。
それに気づかず、自粛に意味がなかったと主張したとは考えにくい。
この主張をしているのはネットのニュースで、それなりに名前を知られている新聞社の記事なんですがね。
その筆者が、この程度のことを読み取れない程度の、低い国語力しかもっていないとは考えにくいです。
なので気付いてなかったとしたら、元の論文(日本語です)を全く読んでいないという事になります。
取材の基本である情報収集に関して、そこまで手抜きをしないでしょう、これほどの新聞社の記者が。
となると、おそらく、分かっているにも関わらずこうした主張をしたのでしょう。
そうだとしたら、人々をミスリードして、COVID-19の感染を推進したかったのかも、と思えます。
もしかすると、そんな罪深いミスリードをしてでも、自粛ムードを破りたかったのでしょうか?
もっと単純に、周りと違うことを主張して、注目を浴びたかったとか?
以上の理由どれをとっても、私としては、マスメディアとして無責任だと言わざるを得ません。

可能性その2 日本はなぜかCOVID-19が流行しにくかった。
→これは様々な説がありますが、「日本は特別なんだ」という考えは危険ではないでしょうか。

これに関しては、

  • COVID-19類似の弱毒性のものが前もって流行していて、多くの人が免疫を獲得してきた。
    →のちに抗体検査により否定されていると思います。
    そもそも、COVID-19は短期間で抗体が消えるという情報も出てきています。
  • アジア人はCOVID-19にかかりにくい。
    →根拠がちょっと見えないです。というか、根拠があっていっているのでしょうか?
  • 日本人の生活様式が、COVID-19流行を防いだ。
    →検討の余地はありますが、今後の対策を検討する際に参考になる程度のものでしょう。

のようなものが見られました。
ただ、そのすべてで、根拠がはっきりしないと、私は感じました。
ということで、とにかく根拠がはっきりしないまま「日本は特別なんだ」「日本は大丈夫なんだ」「日本は神に守られているんだ」的な考えを持ってしまうのは、危険ではないでしょうか?と考えるわけです。
もしこれらの仮定が間違っていた時に、COVID-19の流行第2波をノーガードでもろに受けてしまうということになってしまいますから。

3つ目、日本人は、緊急事態宣言の前後で行動があまり変わらなかった。
→私はこれなんじゃないかと考えています。

もっと素直に、日本では緊急事態宣言の前後で状況や状態があまり変わらなかったと言うことを受け入れて、考えを進めましょう。
しかも、元々COVID-19の流行が収束する方向に向かっていたと。
これはつまり、日本人の行動が、緊急事態宣言の前後で変わらなかったからなのではないでしょうか。
しかもそれが、COVID-19収束方向だったということは、日本人が個人個人で、正しい対策を率先してとっていたとは考えられないでしょうか。
では、日本人が宣言前の時点で、どんな行動をとっていたのでしょう?
ここに、COVID-19対策のカギがあるように思います。

日本人は、宣言前から既に外出自粛をしていた。つまり外出自粛がCOVIC-19流行阻止のカギか?

とうとう、ネットニュースの、しかも有名新聞社の記事と正反対の、「外出自粛こそがCOVID-19流行阻止に関して意味があった」、という結論になってしまいました。
私の記憶が確かなら、日本人は緊急事態宣言が出る前から、自分の頭で事態の深刻さを考えて、当時有効と考えられていた”外出自粛”という策を取っていたと思います。
3月の初旬には、政府も学校の一斉休校という措置をとって後押しをしていますね。
ですが、ここまで読んでこられた方は気付いているはずです。
ここで示したのは、私が仮定の上に推論を重ねてたどり着いた結論です。
医者でも感染症の専門家でもない普通の人間が、それでも参考文献を読み、出来るだけ冷静に考えた末の結果です。
かたや、ネット上の記事で自粛は無意味と言った方は、立派な肩書を持っておられます。
有名どころの新聞(雑誌?)の記事ですし、対談してるのも超有名大学の准教授だったりします。
どちらを信じるのか、それは読んでくださった方の判断なのは当然ですが。
あえて私から提案したいのは、

その情報を発信している団体・人の肩書きで判断せず、情報の中身を自分の頭で考えてから判断してはどうでしょうか?

ということ。
ここでは、自粛によってCOVID-19流行が収束に向かったと、仮定して話を進めます。

既に日本人は緊急事態宣言前から自粛してたんだから、緊急事態宣言は意味がなかった?
いえ、宣言があったからこそ、補償を受けられた方々がいるはず。

まあね、学者さんは自分の領域だけで話を完結させるんでね。
だから、宣言が出たことで社会としてどんな動きがあったか、には興味がないかもしれません。
ただただ、COVID-19の感染拡大または収束に関しての数値だけが、彼らの興味であったとしても、それは当然のこと。
その視点に立てば、「緊急事態宣言前から自粛してきた日本人にとって、宣言は無意味だった。」と言ってしまえますよね。
でも、我々の生活は、感染拡大・収束の数字の話だけでは終わらない。
COVID-19流行による外出自粛(国民が独自に判断した上でのものでしたが)のために受けてしまった経済的ダメージをどうするか、も大きな関心事でした。
そして、緊急事態宣言がでたからこそ、金銭的補償を受けられた方々もいたはず。
さらに、宣言が出たからテレワークにを実施した企業も多いでしょう。
自粛、つまり外出しない事が新型コロナ流行阻止に効果があると言う前提なら、宣言が出てテレワークが始まった事は、外出自粛に拍車がかかったという意味で、非常に意味があったと言えます。
でもね、K値は変わらなかった。
なぜか?
私は次のように考えます。
・緊急事態宣言前の自粛が徹底していたため、テレワークの効果が見えなかった。
つまり、緊急事態宣言前に日本人がそれぞれの考えで行った対策=外出自粛があまりに効果がありすぎて、その後のテレワークによる外出自粛の効果が相対的に小さくなってしまったのではないでしょうか。

じゃあ、結局緊急事態宣言によるテレワークの推進は意味がなかったのか?というとそうではありません。
実は、外出自粛は諸刃の剣の面があり、使い時期や期間を間違えるととっても危険なものだったようなのです。
それをどうにかするためには、先ほどのテレワーク実施に関する経験が必要だったと私は考えるのですが。
そのあたりは、次の機会にお話しします。
と言いながら、次は楽しい「はしびろのお気に入り」をやると思いますけどね。
それではまた、次のネタでお会いしましょう。

ちなみに、これに関連したネタは以下の3つがあります。
時間軸って気付きにくいものですよね。
今こそK値の威力が発揮される時ではないでしょうか!!
「K値によれば、緊急事態宣言や自粛には意味がない」とおっしゃった先生が、「意味のある自粛をしましょう」提言しています。(総論賛成、各論反対)

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