リヒテンシュタイン侯爵家の至宝展 あべのハルカス美術館

趣味を作ることが趣味の、はしびろこうです。
今日は久々の美カテ。
あべのハルカス美術館で開催中の「リヒテンシュタイン侯爵家の至宝展」のご紹介です。
それでは早速。

リヒテンシュタイン侯爵家について

リヒテンシュタイン侯爵家ということは、リヒテンシュタイン侯爵の家系なわけです。
で、リヒテンシュタイン侯爵は、リヒテンシュタイン公国の元首、つまり国の代表者です。
さらに、このリヒテンシュタイン公国は立憲君主制で、リヒテンシュタイン侯爵が君主となります。

しかも、この君主は名目上名だけではなく、立法権、外交権、議会の解散権、法案の拒否権など、強い権力を持っています。
もちろん、世襲制です。
で、この君主はかなり国民の人気が高いようです。
その理由なのかどうか、この家の財産を使用して公務を行っているうえに、多大な寄付もしているということです。
(以上wikipediaの抜粋でした)

いやぁ、どこかの国の2世・3世議員で税金使って飲み食いし放題とか、会食と称してワイロをもらうとか、そういう方々とは真逆ですね。
爪の垢を煎じて飲んでいただきたいと思ってしまいます。

リヒテンシュタイン侯爵家の美術コレクション

このリヒテンシュタイン侯爵家には、一つの家訓がありまして。
「優れた美術品収集こそが一族の栄誉」
というものだそうです。

この家訓に基づいて、侯爵家は500年以上にわたって、ヨーロッパ美術の傑作を収集したということです。
おそらく、そこにそれほど崇高な志はなかったのかもしれません。
でも、その行動は芸術ひいては文化の発展・振興に寄与していたと思われます。

いやぁ、お金持ちというのはこうありたいものですね。
どこぞの、従業員を死ぬまでこき使うことしか考えていない、ブラック企業のトップとはえらい違いです。
ほんとに、爪の垢を煎じて飲むべきでしょう。

私が気に入った展示物について

500年以上にわたってコレクションされたものということで、古いものは16世紀ごろの北方ルネサンスの物から。
新しいものでは19世紀前半のものまでありました。
19世紀前半というと、印象派の手前なんですけどね。
このころビーダーマイヤーという文化形態が発生していたそうです。

ビーターマイヤーについてwikipediaを見ると、
「もっと身近で日常的なものに目を向けようとして生まれた、市民文化」
とはじまっているので、”お?なんか市民が中心の斬新な文化か?”と思いきや、さにあらず。
実際はこのころ起こった「王政復古」によって市民社会の夢破れ、再び自由の利かない閉塞的な、私が思うに”世知辛い”世の中になってしまい。
”もう、理想とか追い求めて国家などの権力者に目をつけられて痛めつけられるのではなく、身の回りの”小さな幸せ”に目を向けて平穏無事に生きよう”
という感じで起こったもののようです。

このころの絵画の特徴は、”身の回りの風景を緻密に描き出す”、ということと感じました。
その例として、私が今回気に入って買った絵葉書を2枚を紹介します。

イシュル近くのヒュッテンエック高原からのハルシュタット湖の展望

フェルディナンド・ゲオルグ・ヴァルトミュラー

イシュル近くのヒュッテンエック高原からのハルシュタット湖の眺望

この絵ですが、はっきり言って、間近で見ても写真じゃないかと思えるほどでした。
題材は、心の休まる田舎の風景、といったところでしょうか。
そういう、身近で小さな幸せ、を絵にしたのかなと感じます。

黒ブドウのある花の静物

ヨーゼフ・ニッグ

黒ブドウのある花の静物

こちらも、身の回りにある、きれいな物(花)と、おいしそうな物(ブドウ)を、鮮やかに、緻密に描いた作品です。
そう、真ん中下あたりに飛んでいる、これはチョウでしょうか?それもまた愛らしく思います。
ちょっと写真が下手ですが、真ん中上にはカゲロウ(?)も飛んでいたりします。透明感があって、はかない感じです。

ちなみに、これは油彩画ではなく、陶板、つまり焼き物です。
でも、まるで油彩画の様に存在感がありました。

実はこの隣に、同じように花を描いた油彩画があったのですが。
こちらはこの陶板に匹敵するほどの透明感があって。
どちらが油彩画で、どちらが陶板か、わからないほどでした。

結論としては、きれいであれば陶板でも油彩画でも関係ない、ということなんですけどね。

全体的な感想

とにかく、鮮やかです。
数百年前の物とは思えないほどに。
赤が最初に目につきましたが、緑も、そしてピンクも。
これは保管状態が非常に良かったのかもしれませんが。
とにかく、大切にされてきたのだろうということはわかります。

「リヒテンシュタイン侯爵家の至宝展」は3/28までです

ご注意いただきたいことは、昨今の新型コロナ対策として、場内での会話は遠慮してくださいとのこと。
それ以外は、適度な混雑状況と感じました。
それなりにゆったりと落ち着いて鑑賞できましたよ。

そうそう、絵画だけでなく、陶器もありました。
日本の柿右衛門とか、中国の景徳鎮とか、ヨーロッパのマイセンとか。
そちらも非常に見どころのあるものでした。
ただ、こちらは結構細かいものになっていますので、単眼鏡を持っていかれるとよいかもしれません。

あべのハルカス美術館のリンクはこちらです。
あべのハルカス美術館

それではまた、次のネタでお会いしましょう。

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