グラフェンをずらして重ねると超伝導体に! Nature ダイジェスト 6月号より

不思議大好きの、まんぼうです。
今日はNatureダイジェストから、
「グラフェンをずらして重ねると超伝導体に!」
をご紹介します。

グラフェンって何?

初めての化学分野のネタですが、実は私の専門分野だったりします。
私が大学に入る頃、フラーレン分子というのがもてはやされました。
俗に、”サッカーボール分子とも呼ばれてますね。
これ、炭素だけからできている不思議な分子でした。
ちなみに、炭素だけから出来ている有名なもの、あと二つあります。
ダイヤモンドと黒鉛ですね。
少し詳しい人なら、ダイヤモンドは電気を通さないけど、黒鉛は通すって知ってるかもしれません。
さっきから黒鉛、黒鉛って言ってますが、何のことはない、鉛筆やノック式鉛筆の芯です。
グラファイトって言います。
ね?今回話題になってる「グラフェン」と似てるでしょ?
ということで、今回は黒鉛の親戚(子供くらいの近さですかね)グラフェンのお話。

えっ?鉛筆の芯が超伝導体になるの?

まあ、遠くの方で当たってます。
グラフェンっていうのは、グラファイトのメチャクチャ薄いものなんですね。
どの位薄いかというと、だいたい、炭素原子一個分。
グラファイトって、炭素が平面的に繋がって出来たシートが、ゴチャっと固まった感じなんです。
そこからシート一枚だけをを取り出す、メチャメチャ難しそうでしょ?
実はそうでも無いんです。
メンディングテープ(まあ、セロテープみたいなものです)をグラファイト、つまり黒鉛に貼り付けてから剥がすと、取れてくるそうで。
まあ、原子一個分の厚さなんで、目には見えないでしょうけど、なんとまあ、案外簡単に取れるもんですね。
とはいえ、それを“操作”するのは大変なんでしょう。
グラフェンを超伝導体にするには、「グラフェン2枚を、魔法の角度1.1度ずらして貼り付ける事」が必要なんだそうです。

そもそも、その1.1度ってのはどうしてやってみようと思ったの?

この「魔法の角度1.1度」というのは、
“計算上、この角度で重ねると、二枚のシートがくっつく力が強まって、特別な性質を持つはず”
という状態だそうです。
なので、筆者らも、最初から超伝導体を作ってやろうと思ったわけではなく、作って見た後でその性質を調べると超伝導体だった、という事だそうです。

じゃあ、今回のは何が面白いの?

すごく大雑把に言いまして、超伝導体には2種類あるそうです。
仕組みがそれなりに分かっているものと、そうでないもの。
それでもって、仕組みが分かってないものの方に、高い温度で超伝導体になる物があるらしいです。
銅酸化物なんですがね、133ケルビンで超伝導体になるそうです
まあ、それでもー140度なんで、すごく低温なんです。
でも、液体窒素の沸点、ー196度に比べれば、はるかに高いです。
(液体窒素なら、案外お手軽に使えます。研究所では、ですけど)
でもって、今回のグラフェンは、仕組みの分かってない物の方の特徴を持っているとのこと。
しかも、グラフェンの研究はかなり進んでいる様です。
例えば、銅酸化物で色々条件を変えたサンプルを作ろうとすると大変ですが、グラフェンなら少し印加電圧を変えればできるそうです。
まあ、グラフェンと銅酸化物の超伝導挙動が同じとは限りませんが、研究が進む事は期待できそうですね。

面白いのは、役に立つから?

いえいえ、そればかりでは無いですよ。
恐らく今回見つかったのは、「魔法の角度」で貼り付いたグラフェンの性質の、ほんの一つだと思います。
またまだ、これから面白い事は出てくると思いますよ。
あと、魔法の角度から、少しずれたらどうなるか?
きっとその辺りも研究してるはずなんで、その辺りからも、また面白いニュースが出てくるかも知れません。
役に立たなくても、その事実それ自体が面白いと私は思います。

何となく、世の中、「科学=役に立つ=大切」という認識の様ですが、私の中では少し違うんですよね。
その辺は、機会があれば書きたいなと思ってます。
雑談としてね。

それでは、次の不思議で、またお会いしましょう。

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