細胞が人工塩基を使ってタンパク質を作った! Natureダイジェスト 2018年2月号より

不思議大好きの、まんぼうです。
今回は、分子生物学の話題です。
実はこの分野が私の専門だったりします。

そもそも、タンパク質ってのはそんなに大事なのかい?

って思いますか?
専門分野であるが故に、世間一般での認識っちゅうのがイマイチピンと来ないんですね、困ったことに。
でも、敢えて極論するなら、“生き物はタンパク質と核酸で、ほぼ出来ている”と言ってしまいましょう。
え?人体の7割は水だろうって?
まあ、そうなんですけどね。
でも、“水”は生命活動の場所になるものなんです。
で、その生命活動で作ってるものの多くがタンパク質、その設計図の素が核酸です。
ああ、ここであまり時間を取れないので、詳しい話は別の機会にしますね。

タンパク質って、お肉のアレよね?核酸て、サプリのアレ?

まあ、私の友人で、機械系の人なんかがこんな反応だったので、皆さんもこんな感じですかね?
なので、もうすこしだけ突っ込みますと、タンパク質は、アミノ酸と言う分子(かたまり)が規則正しく繋がって、色々な働きを持ちます。
その並び方を記録している設計図が“遺伝子“です。
遺伝子を作る核酸は4種類あって、それぞれが1文字を表します。
つまり、遺伝子の情報は4文字で出来ているんですね。
(注意:紙面の関係で、かなり説明をすっ飛ばしています。
DNAだのRNAだの、それぞれの役割だの、DNAは2重らせんだの、RNAには色々種類あるだの、言い出すときりがないので)
で、遺伝子の中の単語は、3文字でできています。
ということは、4x 4 x 4 = 64 この単語があることになります。
でも、実際に使っているアミノ酸の種類は20種類。
スタートとストップに1個ずつ使ったとしても、22個の信号があればいいことになりますね。
42個も差があります。
じゃあ、42個の”空き“がありあるのかと言うと、そうではありません。
いくつかの単語が、ある一つの信号になってるんです。
つまり、”ダブリ“はあるけど、”空き“は無いんです。

で、要するに今回の研究の何がすごいの?

はい、今回の研究は、5文字目と6文字目を追加したんです。
え?何故2文字いっぺんに追加したかですか?
それは、核酸の文字は、対(ペア)になってないといけないからです。
(上の方に、”DNAは2重らせん“とか言うのがありますよね。これと関係します)
で、文字が6文字になったので、一気に”空き信号“が、いっぱい出来ました。
ここに、新しいアミノ酸を当てはめれば、今までにない、新しいタンパク質が作れます。
それは、「ある病気にとっても良く効いて、副作用もなく、必要なくなったら、すぐに分解される」なんて、すごい薬になる可能性があります。

こういった研究の、「光」と「影」

でもね、実は影の部分も無いことはないと思ってます。
「とってもよく効く毒薬で、検出不能で、思い通りのタイミングで効果を発揮させられるもの」
なんてのも、作れるかもしれません。
私は思うんです。
科学それ自体に善悪はなく、それを使う人がそれを決める。
と。
悲しいことに、人は必ずしも善良とは限りません。
なので、ある段階まできたら、こういった研究の制限も作らなければならなくなるんでしょうね。
とはいえ、大いなる希望をもたらす研究結果だと思いますので、今後の展開が楽しみです。

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