日本で無理やり電気自動車を普及させる奇策

  1. 前回の記事で、

「日本で電気自動車の普及率を上げ、電気自動車のおける日本の自動車メーカ0の競争力を上げないと、世界との競争に負け、それが日本の没落につながりかねない」

ということについて、かなりねちっこく説明しました。

それについていろいろな意見(異見?)はあるでしょう。
ただ、最近のニュースで「日本の家電が貿易において赤字になった」ということから考えて。
今のうちに手を打たなければ、自動車産業も同じように貿易上赤字になる、という可能性が見えているように思います。

すでに日本が世界と競っていける分野がどんどんとなくなっている以上、自動車産業でも敗北となればどうなるか?
ここは決して楽観視するべきではないと思います。

ということで、何の力もない、ただの野良学者が考えた、ここからの電気自動車逆転の秘策。
ご紹介していきましょう。

一人の野良学者が考えた、電気自動車普及のための奇策

一手目は誰もが考えること。「充電設備をとにかく増やす」

どこに増やすかが問題です。郊外(もっとはっきりいうなら田舎)に手厚くするべきです。

充電設備を増やすと言うのは、政府としても目標を明確に打ち出しています。
さらにどのあたりに設置していくのかの方針もある程度あるようです。
具体的にどのくらいの数増やすのかも設定しています。

ただ、場所について、

「できるだけ郊外(=田舎)に多く設置する」

とするべきです。

その理由ですが、

元々自動車を使用しなければならない生活スタイルをしているのは郊外の人です

東京都心はもとより。
ある程度の都会(地下鉄やその他の公共交通機関が充実しているところ)では、自動車が必要ない場合が多いです。
よって、そういうところの「自動車保有者」は、趣味で自動車を持っている方というのが割合として多いでしょう。

しかし、郊外、そろそろはっきり言ってしまいましょうか、田舎では違います。
田舎においては、自動車・自動二輪(原付を含む)は、生活必需品となっています。
買い物一つとっても、自動車(最低でも原付)がないと大変なことになります。

これは、実際にいくつかの田舎で暮らしたことのある私にとって、実体験として感じたことになります。
なので、電気自動車の普及は、こう言った田舎をターゲットとすべきです。

であるならば、充電設備は田舎に手厚く設置していくべきでしょう。

設置場所1か所あたり、4基は必要と考えます。

設置場所としては

  • 公共施設(役所、郵便局、公民館、図書館など)
  • 道の駅
  • ホームセンター
  • スーパーなどのショッピングセンター
  • 家電量販店

などがいいでしょう。
理由は簡単。

充電の間(今の所30分はかかる)時間を潰せるところだから

です。(実は役所はちょっとこの定義で行くと怪しくなりますが)

そして、1か所あたり最低でも4基は設置することが必要でしょう。
何も当てずっぽうで言っているわけではなく。
ガソリンスタンドのノズル数に合わせるということです。

大体、ある人が生活する中で!よく見る充電場所というのは限られて来ると思われます。
その場所がいつ見てもいっぱいだったら、電気自動車を買う気が失せますよね。
だって、電気自動車を買ったところで、いつ充電できるかわかったものじゃない、って考えますから。

当然、メインで設置していくのは「急速充電タイプ」の充電設備です。が・・・

先ほど行った設備に設置するのは、急速充電タイプのもの一択です。
充電に何時間もかかるものを長くて1時間程度しかいない場所に設置するのは無意味ですから。

ただ、通常タイプ(満充電まで10時間とかかかるもの)も、設置場所を選べば意味を持ってきます。
それは

  • 月極の駐車場
  • 集合住宅の駐車場
  • 会社の駐車場

です。

特に上2つについては、期間を区切って「希望者がある場合には設置しなければならない。ただしその費用については全額を国(別に市でもいいのですが)負担する」として、無理にでも設置するくらいの勢いでなければなりません。
実はこれが2手目に関係してくるのですが・・・

2手目は2種類考えました。一つ目は「電動2輪を希望者に無料で配布すること」

とにかく充電に慣れてもらう必要があります。

今までガソリンスタンドで給油していたものが、

  1. 自宅(または保管場所)で充電
  2. 出先の空き時間に充電

という、全く違うやり方になります。

ちょっと考えただけで、嫌になる方も多いはず。
だって、今まで長年やってきた方法と違うことをしなきゃならないのですから。

ということで、無理にでも充電に慣れてもらう必要があります。
電気自動車を無料配布は厳しいので、自動2輪を無料配布して、まず充電のあるのライフスタイルに慣れてもらおうということです。

ただ、電気自動車と電動2輪では、充電のやり方が違うのが難点

調べてみたのですが、電動2輪はバッテリーを本体から取り外して、充電設備に差し込む方式のようです。
電気自動車のように、ケーブルを本体に繋ぐものではないんですね。
なので、先ほどの充電設備も電気自動車用4基にプラスして、電動2輪用のものを1基用意する必要が出てきます。

とはいえ、給油ではなく充電、というライフスタイルに慣れて貰えれば良いわけで。

ここでケチケチしてはいけません。

おそらく自動二輪で充電のあるライフスタイルに慣れてしまえば。
自然と自動車でも「充電」という方式に違和感を持たなくなるのではないでしょうか。
あたかも、今ではスマホに違和感を持たないように。

何なら、小型2輪の免許を無料で取得できるようにしてもいいかもしれません。

色々不安はあるかもしれませんが。
小型児童2輪の免許は無料で取得できる様にしてもいいかもしれません。
どのみち、小型2輪は高速道路を走れませんし。
原付免許を持っている人には、自動的に小型2輪免許を交付するのでいいかもしれませんね。

この効果は、先ほどの電動2輪を希望する人数に出てくるでしょう。

自動二輪の免許を持てば、自動二輪に関心を持つでしょうし。

そこに電動とはいえ無料で手に入るとなれば、「それなら貰っておこう」となる人も多いでしょう。

そうやって電動二輪が普及すれば、充電設備の需要がまして、需要できる場所も増えていく。

そんなプラスの連鎖が起きれば、電気自動車普及に繋がるのではないでしょうか。

2手目の2つ目は、「二人乗りの安価な電気自動車を開発すること」

とにかく電気自動車を使ってもらわないことには始まりません

もう一つの手は少し時間がかかりそうです。
でも、その分効果は電動二輪のパターンより直接的と考えます。
その手とは

「二人乗りの、使える電気自動車を開発すること」

です。

なぜ二人乗りかというと、価格を何とかして抑えたいからです。

では、なぜ一人乗りじゃないかというと、ドライバー以外に最低でも一人は乗れなければ、利用価値が大幅に落ちるから、です。

大体、一般家庭で自動車が活躍するのは

  1. 誰かの送り迎え
  2. 買い物

くらいです。

送り迎えするのに一人乗りというのは論外として。
買い物だって、荷物をいちいちトランクに入れるより、助手席に置く方が便利でしょう。
ということで、どんなポジティブな理由をつけても、一般家庭においては一人乗りの電気自動車に用はないでしょう。
(極端な話、電動アシスト自転車で十分です)

このあたり、「使える」とわざわざ言っているのにも関係します。
なので、この辺で「使える電気自動車」とはどんなものか?
考えてみましょう。

「使える」電気自動車の条件

1つ目は先程出てきた、

1.最低でも二人乗り

ですね。理由も既に述べました。
次からは新しい条件です。

2. 高速充電に対応していること

当面のライバルは原付または小型自動二輪になります。
(いきなりエンジンの軽自動車と対抗するのは厳しすぎます)
その原付や小型自動二輪の給油時間は、ものの数分でしょう。
まあ多めに見積もって、15分かかると見ときましょうか。
ならば使える電気自動車は、最低でも一回の充電を15分で終わらせないと勝負になりません。
ただ、電池残量0から8割までを15分で終わらせる必要はありません。
「電池残量が半分くらいになったから、ファミレスで充電しながら15分位休憩するか」ってなればいいんですから。
それなら今の急速充電で対応可能では無いかと思いますよ。
間違っても、
「急速充電非対応で、充電に5時間かかります。一晩あれば十分充電できますから、これでいいでしょう?」
なんて間の抜けた、一般家庭にはどう見ても不必要ものを売ろうなどと、考えはしないでしょうね?

3. 最高時速は120キロ。

原付きですらメーター上は60キロまでありますし。
一応自動車と名乗るのなら、120キロは出せるだけの性能が必要でしょう。
何も高速道路を走ろうというわけではありません。
例えば、橋の手前の坂道なんかをスムーズに走るにはそのくらいのスペックがいるだろうということ。
で、時速120出る性能があるのに、スピードのリミッターなんかつけるわけないですからね。
使える電気自動車の最高速度はどう低く見積もってもこのくらいです。

4. 航続距離は120キロ以上

これも根拠のない話ではなく。
急速充電可能な8割の充電量で100キロくらい走ってほしいと言う意味です。
100キロを下道(平均時速40キロ)ではしったら、二時間半。
もし高速道路にのれるなら1時間後15分。
距離で言えば、東京を起点として、関東圏の主要都市にはどうにか届きます。

たしかにね、家族の送り迎えとか、日々の買い物してるだけならそんな遠くに行く必要はないですけど。
せっかくマイカーを持ったら、ドライブの一つもしたくなるのが人情ってもんです。
しかも、電気自動車よりも”安くて”、”高速道路に乗れて”、”ドライブもこなせる”エンジンの軽自動車がライバルにいるなら。
一回の高速充電で東京から湘南くらいには行けないと話にならんでしょう。

5. 値段は高めの軽自動車くらい

何も最安値の軽自動車に合わせなくてもいいんです。
軽自動車の人気車種で、少しお高めな奴よりは多少安い感じにしたいですね。
出なければ、わざわざ二人しか乗れない電気自動車を買う意味が見いだせないので。

ここに挙げた5つの必須項目ですが、最後の2つは妥協の余地あり

ここで挙げた5つの条件は使える=売れる電気自動車としては最低限のものです。
必須条件と言っても良いでしょう。ただ、4つ目と5つ目は妥協よ余地があります。

5つ目の値段については、電気自動車購入時の補助金を考慮できる

補助金込みで高めの軽自動車並みの値段であれば、何とかして勝負になるでしょう。
そのうちに販売台数が増えてくれば、コストダウンも見込めるかもしれませんし。

4つ目の航続距離は、充電スポットが増えれば、100キロくらいでもいけるか?

こまめに充電可能なら、航続距離が100キロでも行けるかもしれません。
1時間走って15分充電というサイクルに乗れば、何とかなるかも。

逆に言うと、残りの3つはマストです。

逆に、1〜3の条件のうち、一つでも外れているなら、それはきっと「売る気のない商品」なのでしょう。
というか、私の意見では、1〜3の条件を満たしていないものは、”タダでも要らん!”と言わざるを得ないものです。
特に、高速充電に対応していないというものは。
常にバッテリー上がりの恐怖心と共に行きたいという、いわゆるマゾ仕様ですか?
って思っちゃいますね。

問題はその費用をどこから捻り出すか?

お金の問題は、とても大切で、そして大変です

何をするにしても、お金がかかります。問題はどこからお金を持ってくるか?普通に考えて、

「電気自動車が普及して得をするところ」

が適切でしょう。真っ先に思い浮かぶのが自動車メーカーです。が、ここには電気自動車の開発に力を入れてもらわねばなりません。充電設備のメーカーも同様ですね。むしろ研究開発の補助金を出したいくらいです。ではどこにお金を出してもらうか?

電力会社に出してもらいましょう

電気自動車が普及すれば、今よりも電気が良く売れるようになります。
しかも、電力会社は電気自動車普及の為にさしてすることはありません。
ここは一つ、将来大儲けする分の一部を先行投資してもらいましょう。

特に原発を推進しているところは、原発でボロ儲けしてるはずなので、たっぷり出してもらいましょう。

でも、それだけでは足りなくなるでしょう。では次にどこに出してもらうか?

単純に考えましょう。お金はお金のあるところに出してもらうのが自然です。

最近の日本は、お金のないところからお金を搾り取ろうとやっきですが。
水を汲むなら川とか湖とか池などの、水のあるところから汲む事がように。
お金はお金のあるところに出してもらうのが自然です。

どうやって?そんなのは、何か理由をつけて新しい税金を作ればいいでしょう。
その辺りはお役人の腕の見せ所でしょうから、お任せします。

では我々庶民(=貧乏人)はどうすればいいか?

我々庶民は、”電気自動車への関心を高めておきましょう”

いや実際、そのくらいしかできませんのでね。
高い高い電気自動車を買うお金がないのならば。
というか、普通のエンジン自動車の、軽自動車ですら買おうと思えない人が多くなってきたようですし。
(特に若者は自動車を変えないために、「自動車はいらない」というライフスタイルに慣れつつあるようです)

でも、もし格安で”使える電気自動車が手に入るとなったならば。
きちんと入手して、きちんと活用して、電気自動車の普及に貢献するぞ、という気持ちだけは持っておきましょう。
ほんと、貧乏人にはそのくらいしかできる事ないんでね。

ということで、長らく続いた「日本における電気自動車の普及に関する、いち野良学者の意見」は終わりです。
実はこの記事を書く前に、日本のある大手自動車メーカー(ト○タ)から2人乗りの電気自動車が発売されました。
でも、この電気自動車。
最高時速60キロで高速充電非対応(200Vで5時間充電)という代物でして。
私の基準からして・・・(詳細は上の記事を読めばわかります))・・・なものでした。
まあ、日本の自動車メーカーは電気自動車に対して、全く乗り気ではないというのがよくわかる出来事でしたね。

さて、次回は同じくDISCOVERの111-12月号の次世代輸送関係記事から、「自動運転自動車」の話題を取り上げます。
ここまで自動車産業について考えてきましたが、実はそれが根底からひっくり返るかもしれない状況が、結構すぐ近くにやってきているようで。
簡単にいうと「マイカーは地域問わず不必要になるかもしれない」という事です。

今までは公共交通機関が整っていない地方において、マイカーが重要な移動手段でしたが。
自動運転自動車の到来でそうではなくなるかもしれない、なんて感じです。
ただ、それは私の主観(感想)で、記事そのものには書いてないんですけどね。

それではまた、次の面白不思議でお会いしましょう。

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