小石川植物園 ショクダイオオコンニャク さらば友よ
先週に引き続き、ショクダイオオコンニャクを見に小石川植物園に行ってきました。
本当は、もうショクダイオオコンニャクには会えないと思っていました。
すごい人出だとニュースになっていましたし。
でも、今朝妻が小石川植物園のホームページを見て、それほどの人出ではないことわかり、急遽いってきました。
*白く塗りつぶしたところは見学者の方が写っていたところです。
我々が現地に着いたのは13時20分ごろ。
既に付属体が倒れていました。
倒れたのは12時45分ごろとのことですから、ほとんど倒れた直後だったのですね。
ただ、私には”どうだい、おれはやったぜ”と、なんだか誇らしげに言っているように見えました。注1
さて、園内で配っていたわら半紙のパンフレットによると、ショクダイオオコンニャクの(花としての)寿命は基本的に2日間なのですが、その2日間のプロセスはそれはそれは緻密なスケジュールなのです。
1.付属体に巻きついていた仏炎包(花びらのように見える部分)が開く。
2.それと同時に、強烈な悪臭をはなつ。原産地でのショクダイオオコンニャクはそれで虫を呼び寄せる。
3.呼び寄せた虫が逃げないように閉じ込めるため、仏炎包を閉じる。このとき雌花は完成しているが雄花は完成しておらず、ほかのショクダイオオコンニャクで花粉を体につけた虫がいればその花粉が雌花に受粉する。
4.雄花が成熟し、花粉を中の虫に大量に付着させる。
5.付属体が倒れ、仏炎包に隙間を作り、そこから花粉が付着した虫を逃がす。この虫がほかのショクダイオオコンニャクに呼び寄せられ、またそこで受粉が行われる。
つまり、今回見たこの姿は、5.の状態で、それはこのショクダイオオコンニャクにとっての偉大なるゴールなのです。
誇らしげに見えるはずですね。
小石川植物園のホームページを見ると、その後みるみるショクダイオオコンニャクはしおれて行ったようです。
この後このショクダイオオコンニャクは標本にするために解体されるそうです。
しかし、このショクダイオオコンニャクのすべてが終わったわけではありません。
受粉実験を行ったそうですので、このショクダイオオコンニャクの子孫が、もしかしたらできるかもしれません。
いつの日か、このショクダイオオコンニャクの子孫たちが、故郷のスマトラ島に逆に移植されて、ショクダイオオコンニャクが”絶滅危惧種”などと呼ばれなくなるといいなと、心から思います。
今はただ、このショクダイオオコンニャクに、こう声をかけたいと思います。
さらば友よ、君の雄姿は忘れない。本当にお疲れ様。
注1:ショクダイオオコンニャクは多数の雄花と雌花が同じ花に存在しています(花序という花の集まりです)。つまり、雌雄(男女)の区別はありません。
が、私が男性であるため、”友よ”と声をかける相手であるショクダイオオコンニャクが男性のように感じられたため、男性っぽい口調になっています。
ショクダイオオコンニャクは花序付属体と仏炎包が学術標本にするために切除されましたが、雌花群と雄花群は残されているようです。
詳しくは小石川植物園のホームページの
ショクダイオオコンニャクの花序付属体は7月25日(日)に倒れました。
これまでの状況はこちら・・・
というところの”こちら”をクリックした先で見ることが出来ます。
ぜひとも種をつけてほしいと思います。