姫路市立美術館 青山熊治展

姫路市立美術館の青山熊治展にいってきました。
いつものように展示室の入り口に向かうと、壁一面にポスターがずらり・・・
「展覧会ポスターに見る姫路市立美術館の30年」という企画だそうです。
説明してくださったご婦人によりますと、ほぼすべて(何個か抜けはあるそうですが)の展覧会ポスターが張ってあるとのことでした。
改めて、この30年間で姫路市立美術館がどれほど”美”を発信することに力を入れてきたのかがわかりました。
(私はほんの10年ほど前からぼちぼちとお世話になっている程度のビギナーですが)
これからも、どんどんと面白い企画展を開催していただきたいと切に思いました。
と、前置きが長くなりましたが(実際に結構長々とこの面白い企画を楽しんでしまいました)、今回のメイン
青山熊治さんです。
47歳の若さでお亡くなりになったということで、作品数も少なめなのですが、1点1点から感じるパワーは非常に強いものを感じました。
まず1点目のお気に入りは、初期のころの
「アイヌ」
数名で焚き火を囲んでいる場面を描いています。
この中では中央に座っているおじいさんの表情が、今にも歌いだしそうなほどに豊かな表所を持って書かれていました。
陰影を強調した技法は「光と影の画家」レンブラントを髣髴とさせると感じました。
おそらくずっとそのキャラで通してもよかったはずなのですが、彼はそうしなかった。
ヨーロッパに修行に出た彼は、帰ってきてから長らくの沈黙の後、まったく違ったタッチの絵で再登場します。
2点目は復帰2作目になるのでしょうか、
「雨後」
草原で数頭の馬がはしゃいでいます。(多分はしゃいでいるんだと思います)
以前とは一変して明るい色使いです。
まるで馬のいななきとか、”ブルルッ”という鼻を鳴らす音が聞こえてくるようなさわやかな絵でした。
最後の1点ですが、静物画からの紹介です。
もちろん人物画も描いていて、ルノアールっぽい、かわいらしい女性の絵なんかもいっぱいあるんですけど、
なんとなく彼の人柄が一番出ているのが静物画のような気がしたんです。
しかも、題名を忘れました。(涙)
魚が数尾、頭を左にして並んでいる、なんと言うことのない絵なんでですけどね。
なんというか、さらっと描いているのに、妙に生き生きとしていて、しかも油彩画なんですね、これが。
私の好きな画家の一人、速水御舟が晩年(彼も若くしてなくなったので、それほど年をとってはいなかったのですが)に、”絵が速く描けすぎてこまる”というようなことをいったと記憶しています。
なんとなく、青山熊治もその域に達してしまっていたのかなぁ、などと感じました。
速水御舟は、そのこと(=速く絵が描けすぎること)で悩むのですが、青山熊治のほうは、なんとなく泰然とした感じを受けました。
(本当はいろいろと悩んでいたのでしょうけれど)
また一人、すばらしい画家と出会えたことを、とてもうれしく思った1日でした。

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